大阪を中心に活動をする東シェフは、老舗中国料理店を営む家庭に生まれ、子供の頃から食べることが大好きな両親の元で育った。都内で修業や料理長を務めた後、今は大阪で独立し複数の店舗を展開する。また、ソムリエ資格も持つ彼の幅広い食の知見から作り出される料理は、中華と言われなければ気づかないような新しい感覚のものもある。
東シェフいわく、中国では羊料理の歴史は深く日本のしゃぶしゃぶの元になった涮羊肉をはじめ多様な料理が存在するが、シンプルにローストして十三香粉(八角、花椒、桂皮、黒胡椒、陳皮、クミン、丁香などからなる中華のミックススパイス)などエキゾチックな味で仕上げるのが一番好きだという。
東シェフは、オーストラリア産羊肉の特徴として、肉質が柔らかで羊肉独特の香りが穏やかなこと、そして脂肪の甘みを挙げる。また、オージー・ラムは日本へ様々な部位が量、価格ともに安定して供給されていることから、部位の特徴を活かした料理に使い易いという利点があるという。
大阪をはじめ関西では、一部観光地などで羊肉が食べられているものの、東日本と比べると羊肉を目にする機会が少ない。また、羊肉の保存や調理技術があまり知られていない時期に修学旅行や校外学習で初めて食べたジンギスカンで羊肉が苦手になったという話がよく聞かれる。今後、こういったトラウマを払拭するべく、羊肉の本来のおいしさを伝えていきたいという。
過去には、他のジャンルを代表するラムバサダー、シャンカール・ノグチ氏(スパイス貿易商)や庄野シェフ(ラーメンクリエイター)とともにレシピを作ったり、大阪で田淵シェフ(イタリアン)とコラボレーションイベントを行ったりと分野を横断した活動にも力を入れている。パート3まで増え様々な羊のプロが集まったラムバサダーの中で、今後も東シェフは、関西のラム肉消費を盛り上げていってくれるに違いない。
東 浩司
AUBE、Chi-Fu、Az、ビーフン東
オーナー・シェフ
J.S.A.認定ソムリエ
赤坂維新號グループで修行後、2006年、新橋ビーフン東にて料理長に就任。2009年、ソムリエ資格を取得しワインスクールアカデミー・デュ・ヴァン銀座校にて講師を務める。
2011年、大阪でChi-FuとAz/ビーフン東の2店を開業し、ミシュランガイド2013でChi-Fuが1つ星を獲得。2014年、台湾で開催された世界中国料理大会で日本人初の3位入賞を果たす。2018年9月に旗艦店となるAUBEを開業。
皇室御用達の中華ちまきからモダンチャイニーズと幅広い料理の創作、虎ノ門ヒルズカフェや低糖質カフェをプロデュースするなど、活躍の場は広い。