ラムバサダーの「お母ちゃん」宮川順子先生は、料理教室からレシピ提案や監修、イベント企画など様々な活動の中で、特に食育に力を入れており、代表を務める社団法人MIIKU日本味育協会で「味育(みいく)」を進めている。その活動のひとつが「味分け(みわけ)」ができる人を育てることだ。
味覚の基礎は0〜3歳までに形成され、その後9~10歳ころまでに経験した味が、将来に渡って感じられる(味分けできる)ようになる。逆にいうと、それまでに経験したことのない味はその後の人生で感じることができない。そのため、9~10歳ころまでに様々な味に触れること、つまり家庭でその時期に何を食べたか、が大変重要なのだ。
子供の頃から、いろいろな味に接することで、味の違いや美味しさ=味の種類を読み解く力が付く。さらに食べ物を美味しいと感じる時、人の脳ではアドレナリンが出て、人は多幸感を感じる仕組みがある。つまり、様々な美味しさを感じられることは、人生を豊かにする能力の一つである。宮川先生は「美味しいものを食べるのが、一番気軽に幸せを感じられる方法でしょ」と笑う。そういった味覚を形成させる途上に、羊肉の美味しさを知る機会を作り、家庭料理として定着させていきたいという。
ただし、羊肉だからといって、特別なレシピを作る必要はない。豚汁や煮物などの一般的なメニューの肉を羊に変えるだけもいいのだ。今、日本で一番身近な羊肉は、オーストラリア産。実際に現地で羊が飼育される環境や食肉処理施設を訪問、その安全性やアニマルウェルフェア(動物福祉)が守られているかということを実際にみて、これなら家庭での消費にも問題ないことを確認した。今後、スーパーマーケットで手軽に羊肉が手に入るようになるために日本のお父ちゃん・お母ちゃんたちが日常的に羊肉を食卓に取り入れられるようなレシピを持って全国を回ることも考える。
一方で、様々なシェフや飲食関係者と交流があるため、宮川先生が中心となった食事会で集まった人が意気投合し、イタリアンに漢方を掛け合わせた羊肉イベントが開催されるに至ったという。このように、今後、味育の活動に加えて、ジャンルを超えたイベントや羊肉の歴史などを学ぶ会(もちろん食事付き!)をやってみたいと、先生の頭の中にはたくさんのアイディアが溢れているようだ。
宮川 順子
長男のアレルギーを機に、家庭での手作り料理に専念。近隣交流の延長で自然発生的に料理教室を開講。
その後「教える」ための専門的知識の必要性を感じ、食関連の様々なセミナーに参加、各種資格を取得。セミナーに参加する中で食の安全にかかわる衝撃的な事実を聞き愕然とし、家族の健康を守る家庭料理の重要性を痛感。安心安全で健康を守る食を広めるため協会を設立。
現在は、市民講座、カルチャーセンター他「味・味覚・おいしさ」にまつわる様々なセミナーで講師を務めるほか、資格試験講座のテキスト執筆、商品開発、食による地域活性なども手掛ける。