最近よく「輸入なのに羊肉が高い!」との声を耳にします。こちら、間違った認識でして「輸入でも高いものは高い!」が正しい認識です。
昔、加工用のお手頃な肉が食用として出回っていた時もありますが、それはあくまで例外で、海外では羊肉は高級で高額な食肉です。「羊肉=安い」という認識を持っているのは日本人だけなのです。しかし、価格が徐々に上がっているのも確かなので、今回はそのあたりも解説したいと思います。
■羊の価格は自然の影響を受ける
当たり前ですが、羊は生き物です。生き物であるがゆえに自然の影響を多く受けます。基本的に干ばつが起こると羊が安くなり、天候がいいと羊が高くなります。
え??逆じゃない??と思いますよね。私も最初は思いました。それでは、自然がどのように羊肉の価格に影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう!
■干ばつ
草がなくなるので餌を買わなければいけない。それ故出荷して頭数を減らす。
なので、出荷量が多くなり、価格が下がる。
そして、その動きが終わると出荷が止まるので羊の価格が高くなる。干ばつが続くと、母羊も出荷に回されるので翌年の出産数減少に見舞われ、価格高騰の原因になります。今シーズンの羊の高騰の原因がまさにこれです。
■天候が良い時(降雨量が多い時)
餌の草が豊富なので頭数を増やすために出荷数を制限する。また、太らせて販売したほうが高く売れるので羊を確保する動きが強まり、出荷数が減り、価格が上がる。・・・と、すんごい単純化していますが、このような流れが出ます。なので、天候で価格が高騰したり、落ち着いたりします。
■世界中が羊loveなので、羊不足から価格が高くなる。
世界中で羊肉はものすごく愛されています。ごちそうや憧れ=羊肉なのです。以前は収入が少なかった発展途上国でも、経済が良くなると「憧れの羊を余裕が出て来たから食べたい!」と、なります。そうするとどうなるか。今までなかった需要が生まれ、その方たちに供給するために羊の価格が上がるのです。
商取引の基本で、みんなあこがれの羊が食べられるようになったので、買う人が多くなったので高くなったわけです。
あとは何と言ってもアメリカ・中国の二大輸入国がコロナの影響を受けても輸入量がそれ程大きく減っていないことが、羊肉相場の高値推移を後押ししているとの情報もあります。
このほかにも、もう少し色々と原因があるのですが、このような理由などもあり、羊肉の価格は変動したり、高くなったりしているわけです。
世界中みんなのごちそう肉である羊肉。
高くなっている原因の一つが「みんな羊が好きだから」とは、さすが世界のごちそう肉!ですね。
昔のイメージで「羊肉が高いのはおかしい!」とおっしゃる方がたまにらっしゃいますので、なぜ高いのかを簡単な部分だけまとめてみましたので、ご参考までに。各国の政策や補助金の項目や貿易協定やなんやら複雑な要素の部分はズバッと省いてますので、興味ある方は調べてみてくださいませ。
この記事を書いた人
ラムバサダー 菊池 一弘
羊肉の消費者団体、羊齧協会創業者にして主席(代表)。
羊肉料理を素人がおいしく楽しく食べられる環境作りを行うべく、多種多様な羊肉普及のためのイベントを行う。
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