「羊肉、最近高いよね!」という声をよく聞きます。
昔は日本では比較的羊肉が安く輸入できたので、現在の仕入れ価格にはプロの飲食店も量販店のバイヤーも驚きを隠せません。
その原因の一つが「いま世界中で羊肉が人気!」というところにあります。
では、どのような理由で伸びているのでしょうか?オーストラリアから見て主要な輸出相手国であるアメリカは健康志向の高まりや、人口の増加により輸入が伸びています。同じく中近東や中国はもともと「羊肉=ごちそう」の文化圏。近年どんどんと気軽に羊が食べられる中間層が育ってきており、この需要は今後も堅調に推移するでしょう。またここ数年は韓国でもオーストラリアからの羊肉輸入量が急増しています。2016年以前はほとんど羊肉を食べてこなかった韓国ですが、この勢いは留まる様子がありません。
<コロナの影響も価格高騰に関係する?>
世界的需要の高まりだけではなく、コロナの影響も大きく起因します。オーストラリア現地の生産工場や流通に関わる現場の人手不足により、生産量や、供給量が減り、また海上輸送の遅延などで現在需要と供給のバランスが大幅に崩れています。これも価格高騰の一因として大きく関わっています。
※直近の羊肉価格高騰の背景は、現地の飼養頭数の減少など他の要因もありますがそれはまた改めてお話ししますね。
いずれにせよこの世界的な需要増の流れは、今後進むことはあれ、戻ることはない。つまり、羊肉の価格は現在の価格が基準となる可能性が高いということです。
そもそも、「羊肉=安い」というイメージ自体が日本だけのものでして、これで世界基準の価格感になったとも言えます。安いに越したことはないとの考えもありますが、安いには必ず理由があります。その分、世界基準の美味しいお肉が日本に入ってきています。
貴重な羊肉。じっくり味わって食べたいですね。
この記事を書いた人
ラムバサダー 菊池 一弘
羊肉の消費者団体、羊齧協会創業者にして主席(代表)。
羊肉料理を素人がおいしく楽しく食べられる環境作りを行うべく、多種多様な羊肉普及のためのイベントを行う。
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